TECH COLUMN 技術コラム

1. 基礎編 熱とは何か
1-7. 熱対策はなぜ材料だけで決まらないのか 〜未来産業を止めるのは、材料性能不足ではなく、界面と工程かもしれない〜

材料・加工技術

公開日:
1. 基礎編 熱とは何か<br>1-7. 熱対策はなぜ材料だけで決まらないのか 〜未来産業を止めるのは、材料性能不足ではなく、界面と工程かもしれない〜

ここまで、
• 熱とは何か
• 熱はどう移動するか
• 熱抵抗
• 接触熱抵抗
• 小型化による熱問題悪化を見てきた。

そしてここで、非常に重要な話へ入る。
それが、熱対策は、なぜ材料だけで決まらないのかである。

実は、未来産業の熱問題の多くは、
材料性能不足ではなく、
界面・接触・工程で起きている。
これは、現場へ入るほど見えてくる。

■世の中は熱伝導率で語りすぎる

熱対策ではよく、

 ● 熱伝導率○W/mK

 ● 高放熱材料

 ● 次世代TIMなどが注目される。

もちろん重要だ。

しかし実際の現場では、良い材料を使ったのに冷えないことが普通に起きる。

なぜか。

■熱は材料だけを流れていない

例えば、

CPU

 ↓

TIM

 ↓

放熱板

 ↓

筐体 という構造があったとする。

この時、熱は単純に、材料の中だけを流れているわけではない。

実際には、材料と材料の境界を通過している。

 

つまり、

 ● 金属 ↔ TIM

 ● TIM ↔ 放熱板

 ● 樹脂 ↔ 接着剤

 ● 電池 ↔ 絶縁材 など。

未来産業では、異種材料界面が大量に存在する。

■実は境界が最も熱を止める

ここが本質。

どれだけ高性能材料でも、境界で熱が止まることがある。

例えば、

 ● 空気層

 ● 接触不足

 ● 圧力不足

 ● 表面粗さ

 ● 微細段差など。

つまり、

材料Aが良い

材料Bが良い では足りない。

 

本当に重要なのは、AとBをどう繋ぐかなのである。

■異種材料は熱膨張差で戦い始める

さらに難しいのは、

異種材料は、温度変化で別々に動くことだ。

例えば、

 ● 金属

 ● 樹脂

 ● 接着剤

 ● セラミック

では、熱膨張率が違う。

 

すると、

 ● 応力

 ● 剥離

 ● 浮き

 ● 接触変化 などが起きる。

 

つまり未来産業では、熱で壊れるだけではなく、

熱で接触状態が変わる問題が起きる。

■貼ることで熱が悪化することもある

ここが現場では重要。

例えば、

 ● 接着剤

 ● 粘着

 ● ラミネートを使うと、

接合はできる。

 

しかしその一方で、

 ● 厚みムラ

 ● 気泡

 ● 硬化収縮

 ● 応力

 ● 空気層 などが発生する。

つまり、

貼ったことで熱が悪化することすらある。

■小型化で界面問題が爆発する

未来産業では、

 ● 小型化

 ● 高密度化

 ● 積層化が進む。

 

すると、異種材料界面が急増する。

例えば、

 ● 3D半導体

 ● EVバッテリー

 ● ARグラス

 ● ロボット関節など。

 

未来産業ほど、材料そのものより、

材料同士の接点が重要になる。

■AI時代は界面文明になる

AI時代では、

 ● 高密度化

 ● 高熱密度化

 ● 積層化が進む。

つまり未来では、どれだけ高性能材料を作れるかより、

どれだけ異種材料を成立させられるかが重要になる可能性がある。

■数十μmの界面が未来を止める

例えば、

 ● 数十μmの浮き

 ● 微細な気泡

 ● わずかな剥離だけでも、熱性能が変わる。

つまり未来では、数十μmの界面異常が、

 ● AI性能

 ● EV寿命

 ● 半導体性能

 ● ロボット信頼性

を左右する可能性がある。

■理論性能より工程成立

ここで重要なのが、量産である。

試作では成立しても、

 ● 圧力ばらつき

 ● 公差

 ● 材料変形

 ● 自動化誤差

 ● 経年劣化 などで、量産時に崩れることがある。

 

つまり熱問題とは、材料選定問題ではなく、

工程成立問題でもある。

■EVでは界面が安全性になる

EVでは、

 ● バッテリー

 ● TIM

 ● 放熱板

 ● 絶縁材 などが積層される。

 

ここで界面不良が起きると、

 ● 熱集中

 ● 劣化

 ● 熱暴走 につながる可能性がある。

 

つまり界面問題は、能問題だけではなく、

安全問題でもある。

■人体装着型では快適性まで変わる

人体装着機器では、

 ● 柔軟性

 ● 曲面追従

 ● 長時間接触 も必要になる。

 

つまり、熱を逃がせるだけではなく、

違和感なく成立することも必要になる。

■研究者視点 : 材料から界面へ時代が変わる

現在研究されているのは、

 ● 次世代TIM

 ● ナノ界面制御

 ● 柔軟放熱材

 ● 異種材料接合

 ● 表面改質

 ● 放熱接着 など。

 

つまり今後は、材料単体性能より、

界面性能が重要になる。

■現場視点 : 最後は貼り方で負ける

現場では、

 ● 気泡

 ● 浮き

 ● 圧力ムラ

 ● 段差

 ● 厚みムラ

 ● 剥離 などが問題になる。

つまり、材料は最高でも、

貼り方で負けることが普通に起きる。

■OTIS視点で重要なこと

OTIS視点では、熱問題で重要なのは、

 ● 微細加工

 ● 高精度打ち抜き

 ● 高精度ラミネート

 ● 異種材料接触

 ● 圧力安定性

 ● 公差管理

 ● 薄膜加工

 ● 自動化供給

 ● 量産安定性 など。

 

つまりOTISは、異種材料界面を量産で成立させることへ向き合っている。

■OTISでできること

OTISでは、

 ● 微細加工

 ● 高精度打ち抜き

 ● 高精度ラミネート

 ● 熱対策材料加工

 ● 異形状積層

 ● 薄膜加工

 ● リール供給対応などを通じて、

熱が流れる界面を量産で成立させることへ、貢献できる可能性がある。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

 ● 材料そのものの開発

 ● GPU設計

 ● 半導体回路設計

 ● CFD専業解析を専門とする会社ではない。

しかし、

異種材料界面を量産工程で成立させるという領域では、
重要な役割を担える可能性がある。

■まとめ

未来産業を止めるのは、材料不足ではなく、界面問題かもしれない

熱対策では、高性能材料だけでは足りない。

実際には、

 ● 接触

 ● 界面

 ● 空気層

 ● 接着

 ● 公差

 ● 圧力

 ● 工程などによって、熱性能は大きく変わる。

 

そして未来産業では、

 ● 小型化

 ● 高密度化

 ● 積層化によって、

異種材料界面が急増していく。

 

つまり未来では、

どれだけ良い材料かだけではなく、

どれだけ界面を成立できるかが、極めて重要になっていく。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

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