■熱は3つの方法で移動する
熱の移動方法は、大きく3種類ある。
それが、
1.熱伝導
2.対流
3.放射 である。
未来産業の熱問題は、基本的にこの3つの組み合わせで成立している。
① 熱伝導 : 触って熱が伝わる
最初が、熱伝導である。
これは、物体の中を熱が移動する現象だ。
例えば、
● 熱い鍋を触る
● CPUからヒートシンクへ熱が伝わる
● 金属が熱くなる など。
つまり、接触していることで熱が流れるのが熱伝導である。
■金属は熱を伝えやすい
一般的に、
● 銅
● アルミ などの金属は、熱を伝えやすい。
逆に、
● 空気
● 樹脂
● 発泡材 などは、熱を伝えにくい。
つまり熱対策では、何を接触させるかが非常に重要になる。
■なぜ空気層が怖いのか
ここで重要なのが、空気である。
実は空気は、熱を非常に伝えにくい。
つまり、
● 浮き
● 段差
● 接触不良 などによって、わずかな空気層ができるだけで、熱性能が大きく悪化する。
■熱の最後の0.1mm問題
未来産業では、
● 小型化
● 高密度化
● 積層化 が進む。
すると、接触の重要性が急上昇する。
例えば、
● 数十μmの浮き
● 微細段差
● 圧力ムラ だけでも、熱性能が大きく変わる。
つまり未来では、熱の最後の0.1mmが極めて重要になる。
② 対流 : 空気や液体が熱を運ぶ
次が、対流である。
これは、流体が熱を運ぶ現象だ。
例えば、
● ファンで冷やす
● エアコン
● 水冷
● 液冷 など。
つまり、空気や液体そのものが、熱を持って移動する。
■AI時代は液冷化が進む
AIデータセンターでは、発熱量が急増している。
すると、空冷だけでは限界が来始める。
そのため現在は、
● 水冷
● 冷却プレート
● 液浸冷却 など、液冷技術が急速に進んでいる。
理由は単純で、液体の方が、空気より熱を運びやすいからである。
■ロボットやEVも対流と戦っている
EVやロボットでも、
● バッテリー冷却
● モーター冷却
● AIチップ冷却 などで、対流冷却が使われる。
しかし未来では、
● 小型化
● 静音化
● 軽量化 も必要になる。
つまり、冷やしたいと、小さくしたいが衝突する。
③ 放射 : 離れていても熱は伝わる
最後が、放射である。
これは、赤外線として熱が飛ぶ現象だ。
例えば、
● 太陽の熱
● 焚き火の熱
● 宇宙空間での放熱 など。
つまり放射は、「接触しなくても熱が移動する」現象である。
■宇宙では放射が主役
地球では、
● 空気
● 水 があるため、熱伝導や対流が強い。
しかし宇宙は真空。
つまり、空気がない。
すると、放射でしか熱を逃がしにくい。
だから宇宙機器では、放射設計が極めて重要になる。
■実際の熱対策は全部同時
ここで重要なのは、現実の熱問題では、熱伝導だけでも、対流だけでもないことだ。
例えばCPUでは、
CPU
↓(熱伝導)
TIM
↓(熱伝導)
ヒートシンク
↓(対流)
空気 のように、複数が組み合わさっている。
■熱対策は熱の逃げ道設計
つまり熱対策とは、熱を消すのではなく、
熱の逃げ道を作ることである。
ここが本質。
■なぜ接触が重要なのか
ここまでで、なぜ現場で、
● 浮き
● 段差
● 圧力
● 接触面積 などが重要なのか、見えてくる。
熱は、理論性能だけでは流れない。
実際には、どう接触しているかで大きく変わる。
■研究者視点 : 熱移動をどう最適化するか
研究開発では、
● 熱伝導率
● 熱抵抗
● 放熱構造
● 対流効率
● 放射率 などを考える。
つまり熱設計とは、熱の流れ設計でもある。
■現場視点
理論通りに熱が流れない
実際の現場では、
● 接触不良
● 空気層
● 圧力ムラ
● 微細ズレ
● 材料変形 などによって、熱移動が大きく変わる。
つまり、良い材料だけでは、良い熱設計にならない。
■熱問題は工程で決まる
例えば、
● 貼り合わせ
● 圧力
● 段差
● 加工精度
● 自動化安定性 などでも、熱性能は変わる。
つまり熱対策とは、材料性能だけではなく、
工程成立で決まる。
■OTIS視点で重要なこと
OTIS視点では、熱問題で重要なのは、
● 微細加工
● 接触安定性
● 高精度貼り合わせ
● 薄膜加工
● 異種材料接触
● 量産安定性 など。
つまりOTISは、熱が流れる状態を量産で成立させることへ向き合っている。
■OTISでできること
OTISでは、
● 微細加工
● 高精度打ち抜き
● 高精度ラミネート
● 熱対策材料加工
● 異形状積層
● 自動化供給対応 などを通じて、
熱の流れを成立させる接触条件へ貢献できる可能性がある。
■OTISの専門外
一方でOTISは、
● CFD専業解析
● 発熱デバイス設計
● 冷却装置設計
● 発電システム設計 を専門とする会社ではない。
しかし、熱問題を量産工程で成立させるという領域では、
重要な役割を担える可能性がある。
■まとめ
熱対策とは、熱の逃げ道設計である
熱は、
1.熱伝導
2.対流
3.放射 の3つで移動する。
そして現実の熱問題では、これらが複合的に絡み合う。
つまり熱対策とは、熱を消すことではなく、
熱をどこへ、どう逃がすかを設計することでもある。
そして未来産業では、熱の最後の接触条件が、ますます重要になっていく。
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません



