■ラミネート後にさらに打ち抜く場合もある
材料を先にラミネートする。
その後、完成外形を打ち抜く。
この方法なら各層の外形を揃えやすい場合がある。
一方、
粘着材。
金属箔。
グラファイト。
が一緒に重なるため、打ち抜き難易度が上がる場合もある。
つまり、先に打ち抜くか。先にラミネートするか。という工程順も重要になる。
■「加工→積層」と「積層→加工」は結果が違う
各材料を個別に打ち抜く。
その後位置合わせして積層する。
位置精度が課題になる。
一方、
先に積層して一度に打ち抜く。
外形は揃う。
しかし異種材料を同時に切る難易度が上がる。
つまり工程設計では、どの順番が最も安定するかを案件ごとに考える必要がある。
■多工程ほど基準精度が重要になる
ラミネート。
打ち抜き。
部分粘着。
開口。
さらにラミネート。
工程が増えるほど、位置誤差の累積が起こりやすい。
そのため、
基準穴。
マーク。
キャリア。
を使う。
つまり、高精度ラミネートは単独工程ではなく前後工程と一体で設計する必要がある。
■異物が一層の間に入ると抜けない
ラミネートすると、材料間の異物は内部に封じ込められる。
その異物が、
界面を浮かせる。
絶縁材を傷つける。
局所応力を作る。
可能性がある。
完成後に取り除くことは難しい。
つまり高精度ラミネートでは、貼り合わせ前の清浄度が極めて重要になる。
■薄膜ほど異物影響が大きい
50μmのフィルム。
30μmの異物。
この異物は非常に大きな段差になる。
つまり薄膜積層では、微小異物でも界面品質へ大きく影響する。
そのため、
クリーン環境。
材料クリーニング。
搬送管理。が重要になる。
■静電気も異物を呼び込む
フィルムを剥離する。
静電気が発生する。
空気中の微粒子を吸着する。
その状態でラミネートする。
異物が内部へ封入される。
つまりラミネート品質では、静電気管理も重要になる。
■クリーンルームだけで解決するとは限らない
環境がきれいでも、
剥離時に材料自身がカスを出す。
刃物から異物が出る。
粘着剤が糸引きする。
可能性がある。
つまり重要なのは、部屋の清浄度だけではなく、工程そのものから異物を発生させないことである。
■グラファイト積層では粉対策も考える
グラファイトは材料によって端部から粉が出る可能性がある。
そこで、
上下をフィルムで挟む。
端部を覆う。
必要部分だけ露出させる。
といった構造を作る。
つまりラミネートには、
熱。
絶縁。
固定。
だけでなく、材料保護という役割もある。
■金属箔積層ではバリを内側に閉じ込めない
銅箔にバリがある。
その上から絶縁フィルムを貼る。
外観上は見えなくなる。
しかし内部ではバリがフィルムへ局所的に当たり続ける。
長期的に絶縁リスクになる可能性がある。
つまりラミネート前の端面品質が重要になる。
■ラミネートは不良を隠す工程にもなり得る
貼り合わせる前には見えた傷。
異物。
バリ。
位置ズレ。
貼った後には見えにくくなる。
そのため、
完成後検査だけでは足りない場合がある。
つまり高精度ラミネートでは、前工程保証が重要になる。
■工程ごとに何を検査するかを決める
材料単体。
位置。
異物。
外観。
ラミネート後厚み。
完成外形。
それぞれの工程で、後から見えなくなる項目を先に確認する。
つまり検査工程も、製造順とセットで設計する。
■自動画像認識で位置合わせする場合もある
透明フィルム。
黒いグラファイト。
金属箔。
材料によって見え方が違う。
そのため、
認識穴。
マーク。
輪郭。
を利用して位置補正する。
つまり高精度ラミネートでは、画像認識しやすい材料形状を作ることも重要になる場合がある。
■透明材料同士の位置合わせは難しい
透明フィルム同士を重ねる。
目視では輪郭が見えにくい。
カメラでもコントラストが弱い。
そこで、
認識マーク。
一時的なキャリア。
印刷基準。
などを使う。
つまり、最終製品には不要な要素を工程中だけ持たせることもある。
■キャリア上で積層する価値
小さな部材を単体で位置合わせするのは難しい。
ライナーやキャリア上に保持したまま積層すれば、
位置を維持しやすい。
搬送しやすい。
自動化しやすい。
つまりキャリアは、ラミネート精度を支える工程部材でもある。
■リール・ツー・リールで連続ラミネートする
量産数量が増えると、
一枚ずつ貼る。
では生産性が足りない。
そこでロール材料同士を連続的にラミネートする。
これにより、
高速。
連続。
一定条件。
で加工できる。
ただし、
張力。
蛇行。
ピッチ。
ローラー。の管理が必要になる。
■長尺ではわずかな位置ズレが累積する
一回の位置ズレが0.05mm。
短尺なら問題ない。
しかし長尺加工では送り誤差や蛇行が積み重なる。
そのため連続ラミネートでは、
センサー。
画像。
蛇行補正。
などを使って位置を維持する。
つまり、長尺全体で精度を保つことが量産技術になる。
■材料幅が違うラミネートも難しい
広いフィルムへ狭いグラファイトを部分的に貼る。
この場合、
幅方向位置。
長手方向ピッチ。
の両方を合わせる必要がある。
つまり単純な全面ラミネートより、部分材料の高精度配置は難しくなる。
ここに高精度ラミネートの価値が出る。
■多列加工では列間精度も重要になる
材料歩留まりを上げるため、一つのロール幅に複数列を配置する。
すると、
各列位置。
列間ピッチ。
送り方向。
を管理する必要がある。
つまり量産効率を上げるほど、位置制御は複雑になる。
■高精度と歩留まりのバランス
材料間隔を広く取る。
加工しやすい。
しかし材料歩留まりは悪い。
間隔を狭くする。
歩留まりは良い。
しかし位置ズレやカス上げが難しくなる。
つまり高精度ラミネートでは、
品質。
材料費。
生産性。を同時に考える必要がある。
■試作ラミネートと量産ラミネートは違う
試作では、
手で位置を合わせる。
ローラーでゆっくり貼る。
気泡があればやり直す。
ことができる。
量産では、
高速。
連続。
同じ条件。
で作る必要がある。
つまり試作成功だけでは、量産ラミネート成立とは言えない。
■試作では人が応力を逃がしている
人が貼ると、
少し引っ張る。
少し戻す。
角度を変える。
という補正を自然に行う。
自動設備には、それを工程条件として設計する必要がある。
つまりラミネートの自動化では、人の感覚を設備条件へ変換することが重要になる。
■量産では材料ロット差も効いてくる
粘着力。
硬さ。
厚み。
表面粗さ。
がロットによって少し変わる。
その結果、
同じ圧力。
同じ速度。
でも気泡や剥離が変わることがある。
つまり量産ラミネートでは、材料公差の中で成立する工程余裕が必要になる。
■最適点より安定領域を作る
圧力100N。
速度10m/min。
で最も外観が良い。
しかし少し条件がずれると不良になる。
これでは量産では不安定である。
多少条件が変わっても品質が維持できる領域を探す。
つまり、最高品質一点ではなく、安定した工程窓を作ることが重要になる。
■ラミネート後の保管でも状態が変わる
貼った直後は問題ない。
一日後。
一週間後。
粘着材がなじむ。
あるいは内部応力で反る。
つまり、ラミネート直後の評価だけではなく、時間経過後も見る必要がある場合がある。
■熟成時間が必要な粘着材もある
粘着材によっては、圧着直後に最終接着力へ達しない。
時間とともに接着面積が増える。
つまり、
加工直後の接着力。
最終的な接着力。
が違う場合がある。
量産評価では材料特性を理解する必要がある。
■熱サイクルでラミネート界面が動く
高温。
低温。
を繰り返す。
各材料が伸縮する。
界面へ応力がかかる。
その結果、
浮き。
剥離。
反り。
が出る可能性がある。
つまりラミネート品質は、接着直後ではなく、長期使用後も積層状態を維持できることが重要になる。
■微小剥離は熱性能に直結する
グラファイトとTIMの界面が少し浮く。
見た目にはほとんど分からない。
しかしその部分に空気が入り、熱抵抗が増える。
つまりラミネート界面は、機械接合部であると同時に、熱界面でもある。
■熱・絶縁・EMIを一体化する
例えば、
銅箔。
絶縁フィルム。
粘着材。
を積層する。
銅箔は、
熱拡散。
EMI。
絶縁フィルムは、
電気安全。
粘着材は、
固定。
という役割を持つ。
つまり高精度ラミネートによって、複数の機能を一枚の部材へ統合することができる。
■顧客工程を減らす価値
顧客が、
グラファイトを貼る。
絶縁フィルムを貼る。
粘着材を貼る。
3工程行う。
加工会社側で一体化すれば、
顧客は1工程で済む可能性がある。
これによって、
工数削減。
位置ズレ低減。
作業者差低減。につながる。
つまりラミネートは、部材性能だけでなく顧客生産性へも貢献できる。
■工程削減は品質安定にもなる
貼付工程が3回あれば、不良機会も3回ある。
一回にまとめれば、不良機会を減らせる可能性がある。
つまり複合部材化は、コストダウン。だけではなく、量産品質安定化にもつながる。
■ただし複合化しすぎるとリスクも増える
一枚の部材へ多くの機能を入れる。
便利。
しかし一部に不良があれば、部材全体が不良になる。
材料コストも高くなる。
再加工もしにくい。
つまり、どこまで一体化するかを考える必要がある。
■一体化する価値がある工程を選ぶ
位置精度が重要。
顧客作業が難しい。
異物リスクが高い。
自動化しにくい。
こうした工程を加工メーカー側で一体化する価値が高い。
逆に顧客工程で簡単にできるものまで無理に統合する必要はない。
つまり高精度ラミネートは、顧客工程全体を見て使うべき技術である。
■失敗例:各材料の寸法は合っているが積層位置がずれる
グラファイト。
絶縁フィルム。
どちらも図面寸法は合格。
しかしラミネート位置が0.5mmずれた。
グラファイト端部が露出。
絶縁不良リスクが発生した。
つまり、材料単体の精度ではなく、材料間の相対位置が機能品質だった。
■失敗例:高圧で貼ったら粘着材がはみ出した
気泡対策のためラミネート圧力を上げた。
気泡は減った。
しかし粘着材が端面からはみ出した。
設備へ付着。
異物問題も発生した。
つまり、一つの不良を改善した結果、別の不良を作った。
■失敗例:全面積層したら熱性能が悪化した
固定力向上のため、グラファイト全面に粘着材を追加した。
組立は簡単になった。
しかし粘着層が熱抵抗となり、期待した熱性能が出なかった。
つまり、組立性を改善した結果、熱経路を悪化させた。
■失敗例:常温では平坦、高温評価で反る
異種材料をきれいにラミネートした。
初期外観は良好。
高温試験を行うと反りが発生。
一部界面が浮いた。
熱性能も変化した。
つまり、加工直後の外観だけでラミネート品質を判断したことが失敗だった。
■失敗例:試作は手貼りで成功、量産ロールラミネートでシワ
試作では技術者が一枚ずつ貼った。
問題なし。
量産では連続ラミネートへ変更。
上下材料の張力差によってシワが発生した。
つまり、貼り合わせ材料は同じでも、加工方法が変われば別条件になる。
■研究者視点:ラミネートは「界面を作る技術」である
材料A。
材料B。
それぞれの性能だけを見る。
しかし積層した瞬間に、新しい界面ができる。
その界面には、
熱抵抗。
接着。
応力。
電気絶縁。
という性質が生まれる。
つまりラミネートとは、材料を重ねる技術ではなく、新しい機能界面を設計する技術とも言える。
■現場視点:完成品だけでなく、剥がして見る
ラミネート不良が起きる。
外観だけでは原因が分からない。
一度剥がして、
接触跡。
気泡跡。
粘着分布。
異物。
を見る。
すると、
どこが接触していないか。
どこに応力があったか。
が分かる場合がある。
つまり、界面問題は界面そのものを見る必要がある。
■OTIS視点:高精度ラミネートは「複数材料を一つの機能部品へ変える技術」
OTISが扱う材料には、
TIM。
グラファイト。
絶縁材。
金属箔。
粘着材。
発泡材。
がある。
一枚ずつ加工することも価値がある。
しかし、それらを必要な位置へ高精度に積層できれば、
熱。
絶縁。
EMI。
固定。
シール。
といった複数機能を、一つの部材へまとめることができる。
ここに高精度ラミネートの大きな価値がある。
■OTISは「貼る会社」ではなく「機能配置を作る会社」
ラミネートというと、
材料Aと材料Bを貼る。
だけに見える。
しかし実際には、
どこへ。
どの面積で。
どの厚みで。
どの位置精度で。
どの順序で。
貼るかが重要になる。
つまりOTISが提供するのは、単なる貼り合わせではない。
機能材料を必要な場所へ配置する加工である。
■材料メーカーの強みを一枚へまとめる
材料メーカーAのグラファイト。
材料メーカーBの絶縁フィルム。
材料メーカーCの粘着材。
それぞれ優れた材料を持っている。
OTISがそれらを高精度に積層し、一つの機能部材へ変える。
つまりOTISは、複数の材料メーカーの強みを顧客部品へ統合する役割を担うことができる。
■材料メーカー競争ではなく、材料組み合わせで価値を作る
どのグラファイトが一番良いか。
どの粘着材が一番良いか。
だけを競う必要はない。
用途によって最適材料は違う。
OTISは材料そのものを作るのではなく、
用途に合った材料を組み合わせる。
つまり、材料選定+加工+積層で価値を作ることができる。
■顧客が欲しいのは積層技術そのものではない
顧客は、
「高精度ラミネートが欲しい」
とは言わないことが多い。
顧客が欲しいのは、
部品を薄くしたい。
熱を下げたい。
絶縁したい。
貼付工程を減らしたい。
自動化したい。
である。
その課題を解決する手段として高精度ラミネートを使う。
つまり、加工技術ではなく顧客課題から提案することが重要になる。
■OTISでできること
OTISでは、
● 高精度ラミネート
● 薄膜ラミネート
● 部分ラミネート
● 異種材料積層
● TIM積層
● グラファイト+絶縁材積層
● 金属箔+絶縁材積層
● 粘着材積層
● 発泡材積層
● 高精度打ち抜き
● 微細加工
● ハーフカット
● 開口加工
● スリット加工
● 張力管理
● 位置精度管理
● キャリア設計
● リール・ツー・リール加工
● 画像検査
● 自動化向け供給形態
● 試作から量産条件への展開
などを組み合わせ、複数の機能材料を量産可能な一つの部材へ変えることができる。
■OTISの専門外
OTISは、
● 粘着剤そのものの配合開発
● グラファイト材料そのものの開発
● 絶縁材料そのものの開発
● 金属箔そのものの製造
● 顧客製品全体の熱設計
を専門とする会社ではない。
それぞれの専門材料メーカー、顧客設計部門と連携する。
OTISが担うのは、異なる高機能材料を、必要な位置関係で一つの量産部材へまとめる領域である。
■まとめ:高精度ラミネートは、材料の足し算ではない
グラファイト。
絶縁フィルム。
TIM。
金属箔。
粘着材。
それぞれ高性能な材料である。
しかし、それらをただ重ねれば高性能部品になるわけではない。
位置。
厚み。
圧力。
張力。
気泡。
異物。
反り。
熱膨張。
これらを管理する必要がある。
さらに、
どの材料をどこへ置くか。
どこだけ粘着させるか。
どの部分を絶縁するか。
どこへ熱を流すか。
を決める。
つまり高精度ラミネートとは、
材料を重ねる技術ではなく、機能を重ねる技術である。
そして量産では、一枚だけきれいに貼れればよいのではない。
材料ロットが変わっても。
速度が変わっても。
何万個作っても。
同じ位置。
同じ厚み。
同じ接触。
同じ性能。
を作り続ける必要がある。
材料メーカーが作るのは、一枚一枚の高性能材料。
OTISが作るべきなのは、それらが正しい場所で同時に機能する状態である。
熱を通す場所。
電気を止める場所。
固定する場所。
保護する場所。
それらを数十μmから数mmの中へ正確に配置する。
その積層状態を量産で再現する。
それが、OTISにおける高精度ラミネートの価値なのである。
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません


