■高性能化すると発熱は増える
まず前提として、
● AI演算
● 高出力モーター
● 急速充電
● 高速通信 など。
未来産業は、どんどん高性能化している。
つまり、扱うエネルギー量が増えている。
すると当然、発熱量も増える。
■しかし小さくしたい
ここで問題が起きる。
未来産業では同時に、
● 小型化
● 軽量化
● 薄型化も求められる。
つまり、発熱は増えるのに、
熱を逃がす空間は減るという矛盾が起きる。
■熱密度が急上昇する
ここで重要なのが、熱密度という考え方だ。
例えば、
同じ100Wの熱でも、
● 大きな空間で発熱
● 小さな空間で発熱 では、全く難易度が違う。
つまり未来産業では、
小さい場所へ、大量の熱が集中する 状態になる。
これが、熱問題を急激に難しくする。
■AI半導体は超高熱密度
例えばAIチップ。
現在は、
● 高密度化
● 積層化
● 微細化 が進んでいる。
つまり、小さい面積に、巨大な演算能力を詰め込む方向へ進化している。
しかしそれは同時に、
小さい場所へ巨大熱を閉じ込めることでもある。
■熱の逃げ道が細くなる
小型化すると、
単純に、熱の通り道が細くなる。
例えば、
● 放熱面積減少
● 接触面積減少
● 空気流路減少
● 材料厚み減少 など。
つまり、熱を逃がす能力が下がる。
■小さいほど接触が支配的になる
ここが非常に重要。
大型構造では、多少のズレや浮きがあっても、影響が小さい場合がある。
しかし未来産業では、
● 数十μm
● 数μm
レベルで、性能が変わる。
つまり小型化すると、
接触熱抵抗が支配的になっていく。
■数十μmが未来を止める
例えば、
● 微細な浮き
● 段差
● 圧力ムラ
● 空気層 だけでも、熱性能が大きく変わる。
つまり未来産業では、わずかな隙間が、
● AI性能
● EV寿命
● ロボット安定性
● 半導体性能
を左右する可能性がある。
■小型化すると冷却装置も小さくなる
さらに問題なのは、冷却側も小さくなることだ。
例えば、
● 小型ファン
● 薄型ヒートシンク
● 狭い空気流路など。
つまり、冷やしたいのに、
冷却機構を入れる場所がないという矛盾が起きる。
■人体装着型ではさらに厳しい
ARグラスやウェアラブルでは、
● 軽い
● 薄い
● 静か
● 快適 も必要になる。
つまり、大きな冷却装置を積めない
さらに、熱く感じてはいけないという制約もある。
これはかなり難しい。
■EVも小型高密度化している
EVでは、
● 高容量化
● 軽量化
● 長距離化 が進む。
つまり、より多くのエネルギーを、限られた空間へ詰め込む方向へ進化している。
すると、熱密度が上がる。
つまりEVも、小さいのに熱いと戦っている。
■ロボットは関節で苦しむ
ロボットでも、
● モーター
● センサー
● AI
● バッテリーを、狭い関節へ入れたくなる。
しかしそこでは、熱が逃げにくい。
つまりロボットも、小型化=熱問題悪化なのである。
■AI時代は熱密度文明になる
ここまで見てきたように、
未来産業は、高性能化と、
小型化を同時に進めている。
つまり未来は、熱密度がどんどん上がる文明とも言える。
■研究者視点 : 小さいのに冷やす技術が重要になる
現在研究されているのは、
● 超薄型TIM
● ベイパーチャンバー
● 液冷
● 放熱構造
● 熱拡散材料
● 高熱伝導材料 など。
つまり今後は、小さいのに熱を逃がせるかが重要になる。
■現場視点 : 小型化すると量産難易度が爆上がりする
実際の現場では、
● 公差
● 微細ズレ
● 浮き
● 圧力ムラ
● 材料変形などが、小型化するほど効いてくる。
つまり未来産業では、作れるより、安定して量産できる方が難しくなる。
■小型化すると異種材料界面が増える
さらに未来産業では、
● 金属
● 樹脂
● 接着剤
● TIM
● 絶縁 など、異種材料が増える。
すると、
熱膨張差
接触差
界面熱抵抗 などが問題になる。
つまり小型化とは、界面問題の増加でもある。
■OTIS視点で重要なこと
OTIS視点では、小型化時代に重要なのは、
● 微細加工
● 高精度打ち抜き
● 高精度ラミネート
● 異種材料接触
● 公差管理
● 圧力安定性
● 薄膜加工
● 量産安定性 など。
つまりOTISは、
小さいのに熱を成立させる工程へ向き合っている。
■OTISでできること
OTISでは、
● 微細加工
● 高精度打ち抜き
● 高精度ラミネート
● 熱対策材料加工
● 異形状積層
● 薄膜加工
● 自動化供給対応などを通じて、
小型高密度製品の熱成立へ貢献できる可能性がある。
■OTISの専門外
一方でOTISは、
● 半導体設計
● GPU開発
● EV設計
● ロボット制御開発 を専門とする会社ではない。
しかし、
小型化された熱問題を量産で成立させるという領域では、
重要な役割を担える可能性がある。
■まとめ
小型化とは、熱との戦いを難しくすることである
未来産業は、
● 高性能化
● 小型化
● 高密度化 を同時に進めている。
しかしその結果、熱密度が急上昇する。
つまり未来では、小さいのに熱いという矛盾が、
ますます大きくなる。
そしてその裏側では、
熱の最後の数十μmを、
どれだけ成立できるかが、極めて重要になっていく。
コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。
※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません



