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ペロブスカイト太陽電池の期待と課題①

電池・エネルギー

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おはようございます。
フィルム加工・テープ加工のオーティス株式会社です。
今回は次世代太陽電池であるペロブスカイト太陽電池についての記事です。

ペロブスカイト太陽電池の特徴

ペロブスカイト太陽電池は、近年注目を集めている新しいタイプの太陽電池です。
従来型のシリコン太陽電池と比較し、多くの優れた特徴を持っています。

 

 

① 高い変換効率

 

ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池よりも高い変換効率を持つと言われています。これは、ペロブスカイトが広い光吸収スペクトルを持ち、従来型よりも高照度時に発電するのに加えて、低照度や室内光波長でも効率的に変換できるからです。一般的に、ペロブスカイト太陽電池の変換効率は最新の研究では25%以上の効率が報告されています。一方、シリコン太陽電池の効率は約15%から20%程度であることが一般的です。

 

 

② 柔軟性・軽量

 

シリコン太陽電池の材料であるシリコンウエハーは割れやすいため、ガラスに貼り付けてポリマーシートで挟む構造になっています。そのため、面積に対して重量が重くなり、曲げることはできません。一方、ペロブスカイト太陽電池は柔軟な基板上に作成できるため、曲面や可撓性のある構造にも適用可能とされ、重量もシリコン太陽電池の10分の1程度とされています。そのため、シリコン太陽電池では難しかった設置面やアプリケーションにも利用される可能性があります。

 

 

③ 低コスト

 

ペロブスカイト太陽電池の製造プロセスは樹脂フィルムを基板にすることが可能であり、塗布や低温処理で製造できるため、フィルム加工・テープ加工のオーティス株式会社でお馴染みのRoll to Rollでの製造への期待も高まっています。これにより大幅な製造コストの低減が見込まれます。

ペロブスカイト太陽電池の課題と取り組み

ペロブスカイト太陽電池は、光や熱、湿気などの外部環境要因に対して比較的不安定であり、劣化しやすいという課題があります。
特に、長期間の安定性や耐久性に関する課題が重要です。製造プロセスや材料の改良によって、安定性と耐久性を向上させる必要があります。

 

フィルム加工・テープ加工のオーティス株式会社と同じく岡山県の岡山大学にて、昨年末、ペロブスカイト太陽電池の性能と耐環境性を向上する添加剤“ベンゾフェノン(BPを発見したとのニュースがありました。BPの添加がないペロブスカイト太陽電池は、変換効率は急速な劣化を示し、室温・湿度30%の環境で300時間以内に初期値の30%しか維持できないのに対し、BPを添加すると700時間経過後も90%の性能を保持する高い安定性を実現したとのことです。

 

それだけでなく、物質・材料研究機構(NIMS)は20242月に、太陽光に対して20%以上の発電効率を維持しながら、60℃の高温雰囲気下で1000時間以上の連続発電に耐えるペロブスカイト太陽電池を開発したと発表しました。

 

実は、平地面積当たりの太陽電池導入量は主要国で1位であり、その大部分は中国で製造されています。

ペロブスカイト太陽電池は、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明した日本発の技術です。
きたるRoll to Rollによる製造において求められる塗布技術は日本の技術力が求められる部分であり、また、主要材料である「ヨウ素」の生産量は日本が大きなシェアを占めています。日本より次世代太陽電池としてペロブスカイト太陽電池が量産化される日が期待されます。

 

フィルム加工・テープ加工のオーティス株式会社は開発段階より試作対応いたします。

遠慮なくお申し付けください。

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