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3. 熱対策材料編
3-5. セラミック系材料 〜熱を通し、電気を止める材料〜

材料・加工技術

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3. 熱対策材料編<br>3-5. セラミック系材料 〜熱を通し、電気を止める材料〜

セラミック系材料とは、無機材料を主成分とする熱対策材料である。
熱対策の分野では、主に、
• アルミナ
• 窒化アルミニウム
• 窒化ホウ素
• 窒化ケイ素
• マイカ
• セラミックフィラー入り樹脂 などが使われる。
セラミック系材料の大きな特徴は、熱を伝えながら、電気を通しにくいことである。
つまり、セラミック系材料は、放熱と絶縁を同時に求められる場面で重要になる。

■なぜセラミック系材料が必要なのか

熱対策では、銅やアルミなどの金属がよく使われる。

金属は熱をよく伝える。

しかし同時に、電気も通す。

そのため、電子部品や電池周辺では、

熱は逃がしたいが、電気は通したくないという場面が多い。

ここで使われるのが、セラミック系材料である。

■熱と絶縁は両立が難しい

一般的に、熱をよく伝える材料は電気も通しやすいことが多い。

一方で、電気を通しにくい樹脂材料は、熱も伝えにくいことが多い。

つまり、放熱性絶縁性は両立が難しい。

セラミック系材料は、この矛盾を解決するために重要になる。

■セラミック系材料の主な役割

セラミック系材料の役割は、大きく3つある。

 

1.絶縁しながら熱を逃がす

最も重要な役割が、絶縁放熱である。

例えば、

 ● パワー半導体

 ● EVバッテリー

 ● 電源回路

 ● インバーター

 ● AIサーバーの電源周辺 などでは、発熱する部品を冷やしたい。

しかし同時に、電気的には絶縁したい。

このような場面で、セラミック系材料が使われる。

 

2.高温環境で使う

セラミック系材料は、高温に強いものが多い。

そのため、

 ● パワーエレクトロニクス

 ● 車載機器

 ● 電池周辺

 ● 産業機器

 ● 半導体製造装置 など、高温環境での使用に向いている。

ただし、材料によって耐熱温度や機械特性は異なるため、用途に応じた選定が必要である。

 

3.難燃性・耐久性を高める

セラミック系材料は、燃えにくい性質を持つものが多い。

そのため、EVやESSのように安全性が重視される用途では重要になる。

特に電池周辺では、熱を逃がすだけでなく、異常時に熱や炎を広げにくくするという視点も必要になる。

■代表的なセラミック系材料

セラミック系材料には多くの種類がある。

ここでは、熱対策でよく使われる代表例を整理する。

 

*アルミナ

アルミナは、代表的な絶縁セラミック材料である。

特徴は、

 ● 電気絶縁性が高い

 ● 耐熱性がある

 ● 比較的入手しやすい

 ● コストバランスが良い ことである。

熱伝導率は金属ほど高くないが、絶縁性と耐熱性を両立しやすいため、幅広い用途で使われる。

 

*窒化アルミニウム

窒化アルミニウムは、セラミック系材料の中でも熱伝導性が高い材料である。

特徴は、

 ● 高熱伝導

 ● 電気絶縁性

 ● 高温対応

 ● パワー半導体用途で有利である。

一方で、コストや加工性には注意が必要である。

高性能だが、量産工程でどう使える形にするかが重要になる。

 

*窒化ホウ素

窒化ホウ素は、熱伝導性と絶縁性を持つ材料として使われることがある。

特に、樹脂にフィラーとして混ぜることで、絶縁性を保ちながら熱伝導性を高める用途がある。

特徴は、

 ● 電気絶縁性

 ● 熱伝導性

 ● 潤滑性

 ● フィラー用途での使いやすさである。

セラミックフィラー入り放熱シートや絶縁放熱材で重要になる。

 

*窒化ケイ素

窒化ケイ素は、機械的強度や耐熱性に優れるセラミック材料である。

特徴は、

 ● 高強度

 ● 耐熱性

 ● 耐摩耗性

 ● 絶縁性 である。

高信頼性が必要な用途で検討される。

 

*マイカ

マイカは、天然鉱物由来の層状材料である。

熱対策では、絶縁性、耐熱性、難燃性を活かして使われることがある。

特にEV電池や高温部材周辺では、

熱を遮る

電気を絶縁する

異常時の安全性を高める という目的で使われることがある。

マイカは放熱材というより、

耐熱・絶縁・遮熱材として理解するとよい。

 

*セラミックフィラー入り樹脂

実際の熱対策材料では、セラミックそのものを板として使うだけではない。

樹脂の中にセラミックフィラーを混ぜた材料も多い。

例えば、

 ● シリコーン樹脂

 ● エポキシ樹脂

 ● アクリル系材料

などに、アルミナや窒化ホウ素などのフィラーを入れることで、熱伝導性を高める。

これにより、柔らかさ、絶縁性、熱伝導性を組み合わせた材料が作られる。

■セラミック系材料のメリット

セラミック系材料の主なメリットは以下である。

 ● 電気絶縁性が高い

 ● 耐熱性が高い

 ● 難燃性がある

 ● 化学的に安定している

 ● 高温環境で使いやすい

 ● 電池や電源周辺で安全性に寄与しやすい

特に、EV、ESS、パワー半導体、AIサーバーの電源周辺では重要になる。

■セラミック系材料の注意点

一方で、セラミック系材料には注意点もある。

 ● 硬い

 ● 割れやすい

 ● 曲げに弱い

 ● 加工しにくい

 ● 粉落ちする場合がある

 ● コストが高い材料もある

 ● 柔軟性が不足することがある

つまりセラミック系材料は高性能だが、

扱いやすい材料とは限らないのである。

■硬さが問題になる

セラミック系材料は硬いものが多い。

硬い材料は、表面の凹凸に追従しにくい。

そのため、部品との間に空気層が残ることがある。

すると、接触熱抵抗が増える。

つまり、セラミック系材料では、高熱伝導だけでなく、

接触状態を考える必要がある。

■割れやすさが問題になる

セラミックは、種類によっては割れやすい。

特に薄く加工した場合や、複雑形状にした場合、欠けやクラックが問題になることがある。

量産工程では、

 ● 打ち抜き

 ● 搬送

 ● 貼り合わせ

 ● 巻き取り

 ● 自動機供給 の中で破損しないことが重要になる。

■セラミックフィラー入り材料の課題

セラミックフィラー入り樹脂材料では、フィラーが多いほど熱伝導性は高まりやすい。

しかし、フィラー量が増えると、

 ● 硬くなる

 ● 脆くなる

 ● 粘着性が落ちる

 ● 加工しにくくなる

 ● 粉落ちしやすくなることがある。

つまり、熱伝導性を上げるほど、加工性が悪くなることがある。

ここは現場で非常に重要なポイントである。

■AIサーバーでのセラミック系材料

AIサーバーでは、GPUだけでなく、電源部品、絶縁部材、液冷周辺部材も重要になる。

セラミック系材料は、

 ● 絶縁放熱

 ● 耐熱

 ● 難燃

 ● 高信頼性 が求められる部分で検討される。

特に高電圧・高電流が関係する領域では、熱を逃がしながら絶縁する材料が重要になる。

■EV・ESSでのセラミック系材料

EVやESSでは、電池周辺の安全性が重要になる。

セラミック系材料は、

 ● セル間絶縁

 ● 熱暴走対策

 ● 遮熱

 ● 難燃

 ● バスバー周辺絶縁

 ● 冷却部材との絶縁 などで重要になる。

EV・ESSでは、熱を逃がすことと、

異常時に熱を広げないことの両方が必要になる。

この点で、セラミック系材料は重要な選択肢になる。

■パワー半導体でのセラミック系材料

パワー半導体では、高電圧・高電流を扱う。

そのため、発熱が大きく、絶縁も必要になる。

ここでは、セラミック基板や絶縁放熱材が重要になる。

つまりパワー半導体では、

放熱性

絶縁性

信頼性 の3つを同時に満たす必要がある。

■研究者視点 : セラミック系材料は絶縁放熱の中心材料

研究開発では、セラミック系材料に対して以下のような性能が求められる。

 ● 高熱伝導

 ● 電気絶縁性

 ● 耐熱性

 ● 難燃性

 ● 高信頼性

 ● 低アウトガス性

 ● 機械強度

 ● 薄型化

 ● 樹脂との複合化

つまりセラミック系材料は、熱と電気を分けて考えるための材料である。

熱は通す。

電気は止める。

ここに大きな価値がある。

■現場視点 : セラミック系材料は加工性が課題になる

現場では、材料性能だけでなく、加工性が重要になる。

例えば、

 ● 欠け

 ● 割れ

 ● 粉落ち

 ● バリ

 ● 層間剥離

 ● 厚みばらつき

 ● 貼り合わせズレ

 ● 搬送時の破損 などが課題になることがある。

つまりセラミック系材料では、材料性能だけでなく、

加工方法

供給形態

量産安定性 が重要になる。

■セラミック系材料の量産で起きやすい問題

量産工程では、以下のような問題が起きることがある。

 ● 打ち抜き時の欠け

 ● 端面の粉落ち

 ● 薄物の割れ

 ● 貼り合わせ時の応力割れ

 ● 搬送中のクラック

 ● 自動機供給時の破損

 ● 粘着材との相性不良

 ● 絶縁層とのラミネート不良

これらが起きると、熱性能だけでなく、絶縁性能や安全性にも影響する。

つまりセラミック系材料では、

 

が非常に重要になる。

■OTIS視点

OTISはセラミック材料そのものを開発する会社ではない。

しかし、セラミック系材料を量産工程で使える形に加工する領域では貢献できる可能性がある。

OTIS視点で重要なのは、

 ● 狙った形状に加工する

 ● 割れや欠けを抑える

 ● 粉落ちを考慮する

 ● 粘着材と貼り合わせる

 ● 絶縁フィルムと積層する

 ● 異種材料とラミネートする

 ● 自動化工程で扱いやすい形にする

 ● 量産時のばらつきを抑える 

 ● 耐久ショット管理をする ことである。

セラミック系材料は、性能が高い一方で、扱いが難しい。

だからこそ、が重要になる。

■OTISでできること

OTISでは、

 ● セラミック系シート材料の加工検討

 ● マイカ系材料の加工検討

 ● 絶縁放熱材の加工

 ● 高精度打ち抜き

 ● 薄膜加工

 ● 高精度ラミネート

 ● 粘着材との貼り合わせ

 ● 異種材料積層

 ● リール供給

 ● 自動化工程向け供給形態設計

などを通じて、セラミック系材料を量産で使える状態へ近づけることに貢献できる可能性がある。

特にAIサーバー、EV、ESS、パワー半導体では、絶縁、耐熱、放熱、難燃を同時に考える必要がある。

■OTISの専門外

一方でOTISは、

 ● セラミック材料そのものの開発

 ● セラミック焼結

 ● 粉体設計

 ● フィラー配合設計

 ● 材料物性そのものの改良

 ● 熱シミュレーション専業解析 を専門とする会社ではない。

しかし、セラミック系材料を量産工程で使える形にするという領域では、重要な役割を担える可能性がある。

■この技術が重要になる産業

★★★★★ EV・電池

★★★★★ ESS・蓄電システム

★★★★★ パワー半導体

★★★★★ AIサーバー電源周辺

★★★★☆ 半導体製造装置

★★★★☆ 産業機器

★★★★☆ 通信機器

■まとめ

セラミック系材料は熱を通し、電気を止める材料である

セラミック系材料は、熱対策において非常に重要な材料である。

特に重要なのは、熱を逃がしながら、電気を絶縁するという点である。

AIサーバー、EV、ESS、パワー半導体では、発熱と電気絶縁を同時に考える必要がある。

そのため、セラミック系材料の重要性は今後さらに高まる。

一方で、セラミック系材料は、

 ● 硬い

 ● 割れやすい

 ● 粉落ちしやすい

 ● 加工が難しい という課題も持つ。

つまりセラミック系材料は、高性能だが、量産で扱うには工夫が必要な材料である。

そして材料を選ぶだけでは不十分である。

狙った形状に加工し、絶縁性を保ち、壊さず、量産で安定して使える状態にする。

そこまで成立して、初めて熱対策材料として機能する。

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません

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