TECH COLUMN 技術コラム

6-13. パッケージの将来(3D・光I/O・液冷統合)

材料・加工技術

公開日:
6-13. パッケージの将来(3D・光I/O・液冷統合)

半導体の進化は、微細化から立体化・統合化へ 明確に舵を切っている。
これからのパッケージは、単なる包む技術ではなく、システム性能そのものを決める中核技術になる。

【1】なぜパッケージが次の主戦場なのか

理由はシンプル。

・微細化(ムーアの法則)が限界に近づいた

・配線遅延・電力・発熱が性能を制約

・チップ単体では限界を突破できない

→ つなぎ方・冷やし方・運び方 が勝負。

【2】3Dパッケージの進化

● TSVによる垂直積層

3Dパッケージでは、

・ロジック × ロジック

・ロジック × メモリ

・メモリ × メモリ を 垂直方向に直接接続 する。

利点:

・配線最短

・レイテンシ最小

・帯域最大化

課題:

・放熱

・信頼性

・歩留まり

→ 実用化は段階的に進行。

 

● ハイブリッドボンディング

はんだを使わず、

・Cu-Cu

・絶縁膜同士 を直接接合。

特徴:

・ピッチ数µm以下

・抵抗・遅延が極小

・3D積層の鍵技術

【3】光I/O(Co-packaged Optics)

電気配線の限界を超えるため、光でデータを運ぶ 技術が本格化。

● なぜ光I/Oが必要か

・電気配線は距離が伸びると損失増大

・消費電力が急増

・高速化が頭打ち

光I/Oは:

・超高速

・低消費電力

・長距離 を同時に実現。

 

● Co-packaged Optics(CPO)

・光エンジンをパッケージ内に内蔵

・スイッチ・AIチップと直結

データセンター用途で急速に研究・実装が進む。

【4】液冷パッケージの現実化

AIチップの消費電力はすでに空冷の限界を突破。

進化方向:

・ダイ直下冷却

・マイクロチャネル

・冷却液循環型パッケージ

特徴:

・冷却性能が桁違い

・温度ムラ抑制

課題:

・漏れリスク

・信頼性評価

・製造・保守コスト

【5】電源・冷却・光の統合設計

将来のパッケージでは、

・電源供給

・冷却

・光I/O を 別物として扱えない。

必要なのは:

・電気 × 熱 × 光 × 機械

・完全なCo-design

パッケージは小さなデータセンターになる。

【6】OSAT × ファウンドリの競争構造変化

先端パッケージでは:

・ファウンドリが後工程まで内製化

・OSATが高付加価値領域に集中

競争軸が変化。

今後は:

・技術連携できる企業

・システム理解を持つ企業 が生き残る。

【7】日本企業のチャンス領域

日本が強みを持つ分野:

・材料(樹脂・基板・接着)

・精密加工

・信頼性評価

・装置技術

3D・光・液冷は材料×信頼性の世界。

日本企業が再び存在感を出せる領域(になって欲しい)。

【8】まとめ(6-13)

・微細化の次は立体化・統合化

・3D積層とハイブリッドボンディングが鍵

・光I/Oは電気配線の限界を超える

・液冷はAI時代の必須技術

・パッケージは「システムそのもの」になる

【理解チェック】

1.なぜ今後は3Dパッケージが重要になるのか?

2.光I/Oが必要とされる最大の理由は何か?

3.液冷パッケージで最も大きな課題は何か?

 

 

 

 

コラム監修:角本 康司 (オーティス株式会社)
語学留学や商社での企画開発を経て2011年にオーティス株式会社入社。経営企画部を中心に製造・技術部門も兼任し、2018年より代表取締役として事業成長と組織強化に努めている。

 

※本記事は教育・啓発を目的とした一般的な技術解説であり、特定企業・製品・技術を示すものではありません。

最新記事

  • 10-8. リール供給・自動化対応(中編) ― 熱対策部材を「人が貼る部品」から「設備が使える部品」へ変える ―

    10-8. リール供給・自動化対応(中編) ― 熱対策部材を「人が貼る部品」から「設備が使える部品」へ変える ―

    前編では、設備が扱える部材をどう設計するかを見てきた。 ピッチ。キャリア。ライナー。剥離。吸着。画... 続きを読む
  • 10-8. リール供給・自動化対応(前編) ― 熱対策部材を「人が貼る部品」から「設備が使える部品」へ変える ―

    10-8. リール供給・自動化対応(前編) ― 熱対策部材を「人が貼る部品」から「設備が使える部品」へ変える ―

    熱対策部材は、性能が良いだけでは量産に使えない。 TIM。 グラファイト。 絶縁フィルム。 ... 続きを読む
  • 10-7. 異形状積層(後編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    10-7. 異形状積層(後編) ― 全面に重ねるのではなく、必要な場所だけに機能を配置する ―

    前編では、必要な場所へ必要な機能だけを配置するという考え方を見てきた。 部分グラファイト。部分絶縁... 続きを読む

関連記事

  • 10-7. 光半導体とシリコンフォトニクス

    10-7. 光半導体とシリコンフォトニクス

    半導体の高速化が進む中で、新しい通信技術として注目されているのが 光半導体(フォトニクス) である。... 続きを読む
  • 7-2. 液冷の可能性と課題 ― 熱源の近くで熱を回収できる。しかし、液体を扱う難しさが増える ―

    7-2. 液冷の可能性と課題 ― 熱源の近くで熱を回収できる。しかし、液体を扱う難しさが増える ―

    空冷では、最終的に熱を空気へ渡して冷却する。 しかしAIサーバーや高性能半導体では、 発熱量と発... 続きを読む
  • 8-9. 日本企業の立ち位置と強み

    8-9. 日本企業の立ち位置と強み

    半導体産業の話になると、よくこう言われる。 「日本は半導体で負けた。」 確かに、 ・CPU ... 続きを読む

CONTACT お問い合わせ

岡山 / Okayama

0867-42-3690

東京 / Tokyo

03-6810-4830

お問い合わせはこちら